2023年4月16日、神奈川県相模原市緑区の新戸キャンプ場でテントで寝泊まりをしていた夫婦が倒木の下敷きになり、夫は肋骨を折るなどの重傷、女性は病院へ運ばれましたがその後死亡が確認されました。
亡くなられた奥様のご冥福を心よりお祈りします。
このような痛ましい事故を繰り返さないためにも、倒木の恐れがある危険な木の見分け方を覚えておく必要があります。
今回は、アウトドアでの危険な木を見分けるポイントをできるだけわかりやすくお伝え致します。
倒木による事故を防ぐポイント
鹿児島県の小学校で起きた事故に学ぶ(2022年)
実は昨年(2022年)8月にも国内で根腐れを起こした木が倒れ死亡事故が起こり、大きなニュースとなりました。
鹿児島県曽於市の小学校で、校長が樹齢160年のイチョウの大木の枝の下敷きになって死亡したという事故が起こりました。
この事件当時に、現場の調査に入った樹木医が、倒木の恐れがあるような内部が腐った木の見分け方を4つのポイントとして紹介していました。
倒木のリスクがある木を見分ける4つのポイント
①キノコが生えている
②葉の色が薄く、量が少ない
③枝が枯れている
④幹や枝に空洞がある
①キノコが生えている
樹木にキノコが生えると腐朽菌という菌が入って幹や枝の内部が腐ります。
ちなみに今回の相模原の事故も倒木の原因は「根腐れ」だと言われています。
この影響で幹には大きな空洞もできていて、曽於市の小学校で調査をした樹木医は「倒れるおそれがある」として、早めに撤去すべきだと指摘しました。
本来はキャンプ場や学校など、多くの人が利用するような場所はこのような危険な木は早期に処分するべきでしょう。
ただし、全国に生えている樹木1本1本を常に樹木医が調査できるワケではないので、危険な木を見分けるのは利用者個人(もしくは現場の素人)に委ねられているのが実情と言えます。
②葉の色が薄く、量が少ない
曽於市の小学校の倒木は葉の色が薄く、その量も少なくなっていました。
樹木医が調べると、根に問題があり木の内部の一部が腐っていると考えられたということです。
このまま衰弱した状態が続くと、高いところにある枯れ枝が折れて落下する危険性があるとして、すぐに切り落とす必要があると学校に伝えていました。
③枝が枯れている
枝が枯れていることは、木の末端まで栄養が行き渡っていない証拠であり、根腐れを起こしている兆候の1つと言えます。枝が枯れている木がすべて倒木の恐れがあるワケではありませんが、すべての枝が枯れているような大木の近くではテントを張る場所としては控えた方が良いでしょう。
④幹や枝に空洞がある
曽於市の事故が起きた大木の写真ですが、木の根元に大きな空洞が空いていることが確認できます。
小学校では、事故前はもしかしたら子どもたちの遊び場となっていたのかもしれません。
そう考えるとゾッとしますよね。
このような木を見つけたらむやみに近づかないようにしましょう。
相模原の事故を例に取ると
今回の相模原市の事故現場映像を見ると、木のところどころに白い部分が確認できます。
これが、ポイント①で紹介したキノコかどうかは定かではありませんが、コケもかなり生えていることが確認でき、かなり古い木であることは想像できますよね。
②の葉の色が薄いかどうかの判別は素人には難しいところですが、周りの樹木と見比べて相対的に葉が薄い樹木は少し疑ってかかった方がいいかもしれません。
③の枝が枯れているに関しては、これは完全に枯れていると言っていいでしょう。
また④の空洞については、写真からはこの木に空洞があったのかどうかの判定は難しいですが、今回のように台風でもない天候の状況でいきなりこのような大木が倒れるということ自体が珍しいので、その兆候は木の外見にも既に出ていたのではないでしょうか。
恐らく穴が開いていたか、空洞が外見でも確認できる状況だったのではないかと考えられます。
今後キャンプ等のアウトドアに行った際は、これらのポイントに気をつけていただきたいと思います。
まとめ
今回は、相模原市緑区の新戸キャンプ場で起きた痛ましい事故を繰り返さないために、事故を未然に防げる情報をまとめて紹介致しました。
コロナ禍の影響もあり、家族で気軽に楽しめるアウトドアとしてキャンプ人気が続いていますが、このような事故が起きてしまうと、楽しいはずのキャンプが家族にとって取り返しのつかない悲劇となってしまいます。
テントを張る際や、子どもたちを遊ばせる場所選び等の際に今回紹介した情報を参考にして、ぜひ安心してキャンプを楽しんで欲しいと思います。